大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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2012年センター試験の分析

センター試験「平成24年度試験問題評価委員会報告書(本試験)」より~その3~

 前回の続きです。

第6問 問6(問題番号34)
 占領期の種々の出来事に関する問題。正答率は少々低いもの。
 作成部会は「教科書では散在して一見別の事柄とされがちな事項を、占領期から1950 年代にかけての政治の変化に結び付けて理解する能力を求めた」としており,特に「教科書では散在して一見別の事柄とされがちな事項」結びつける力を試そうとしたと考えれば良問です。特に戦前の社会運動からのつながり,朝鮮戦争前後の動向をしっかり理解しておく必要があると思います。高校教員は「レッドパージの解除については扱っていない教科書が多く、細かな事象に踏み込んだ感がある」とはしていますが,このような問題で確実に正答が出せないと,90~100点は取れません。

第6問 問8(問題番号36)
 疑獄事件と政変の相関関係についての問題。正答率は少々低いもの。
 作成部会は「単に事件の年代を覚えているかではなく、どの政権・政治家と関連しているかを考えさせ、戦後政治の時期的変化を捉えさせる設問」としており,現代史を大きく捉える良問です。高校教員は,「高等学校教科担当教員からは戦後首相の詳しい内容まで学習が行き届かないこともあり難しい」としつつも,「それぞれの疑獄事件が戦後政治の転換期に起こったことを考えると、政治史の流れの理解度を測る上では良い問題」と評価しており,現代史ではこのレベルは出題されると考えておいた方がいいでしょう。
 また,現代史について,高校教員が「昨年度、1990 年代を歴史と捉える出題者の意図を受け止めると同時に、これ以上現代史に出題が偏らないことをお願いしたが、それを反映していただいたことに感謝している」としているので,現代史は,過去の出題から見ても,1970年代まで学習しておけば,90点以上はとれるでしょう。ちなみに現代史は,例年,3問前後,得点は10点前後です。100点!をめざすなら,念のため,1980年代までは学習しておいた方がよいと思いますが,1970年代までをしっかり学習することで,解答は出せる問題になっている可能性は高いと思います。

 その他,全体に対しては「時代横断的な設問が増えたこと」を高校教員が評価しており,作成部会も見解に上げているので,今後も「いつの時代(時期)の出来事か」を意識した学習をしておきたいところです。一方で「時代をまたぐ」出題も差が付く問題となります。
 さらに高校教員も,作成部会も「原始の設問が少ない」ことは指摘しているので,次年度は旧石器~縄文時代が出題されることが予想できます。
 平均点についても,目立った指摘はなかったので次年度も同様のレベルを想定しておいていいでしょう。

 今年度のセンター分析は以上です。センター日本史Bの攻略の参考にしてください。

センター試験「平成24年度試験問題評価委員会報告書(本試験)」より~その2~

第3問 問3(問題番号15)
 鎌倉時代の社会・経済に関わった人々に関する問題。正答率は標準。
ただし,③の誤答を選んだ人が多いと思われます。作成部会は「鎌倉や借上といったキーワードをしっかり理解できていないことが誤答の原因と思われる」としており,やはりキーワードは「大原女」ではなかったようです。高校教員からの目立ったコメントはありませんでした。

第3問 問4(問題番号16)
 南北朝・室町時代における外交の変遷についての理解を問う問題。正答率はやや低め。
今年度の設問の中で最も正答率が低かったと思われます。作成部会は「選択肢中の懐良親王については教科書の頻度も低く,それが誤答の原因であったと思われる」としつつも,「関連項目の基本的な理解があれば十分に正解にたどり着けたはず」としており,妥当な分析でしょう。高校教員も「受験者にとってなじみの深い語句は,足利義持だけであり,懐良親王や源道義という語句は,かなり難しいように見える」としつつも,「南北朝の動乱が足利義満によって終息したという基本的な流れと、明が海禁政策をとっていたこと、そして一国の王と認められて初めて朝貢がかなうという中国による冊封体制の本質が理解できていれば、正答が導ける出題であった」としており,これも妥当な分析でしょう。要は「Ⅱ…明が倭寇の取締りを要求した」ことの意味や,「Ⅲ明皇帝が「源道義」を「日本国王」とした」ことの意味を理解していればできるということです。歴史の理解を軽視して,用語暗記を重視する学習をしていてはいけないのです。

第3問 問6(問題番号18)
 戦国時代の政治に関わる事件についての問題。正答率は標準よりもやや低め。
 作成部会は「室町期の政治体制が崩壊し克服される過程に関する理解不足」と言っていますが,そういう問題には思えません。「下剋上に絡んだ戦国大名や武家の氏名が選択肢に複数見られたことが、誤答の主たる原因であった」とこちらが正答率が低い原因でしょう。要は語句の知識に頼った問題であったということです。高校教員も「堀越公方を滅ぼしたのが北条氏康であるかどうかの判断が求められたが、やや細かな事項と思われる」と言っており,同感です。

第4問,第5問は特筆すべき設問はありませんでした。

第6問 問2(問題番号30)
 民政党内閣期の外交政策に関する問題。正答率は低いもの。
 作成部会は「単に事項の起きた年代を問うのではなく、政権を担った政党の性格を考えて選ばせるようにした」といっており,高校教員も「立憲民政党内閣について問うており、やや難しくはあるが、まだ衆議院が機能していたことを示すリード文と併せて考えれば、正答を導くことができた良問」といっています。過去にも,昭和初期の政党制時期を問うものはよく出題されており,単なる用語暗記にとどまらず「政権を担った政党の性格」を意識しながら学習をすすめなければいけないということがわかります。

その3へつづく
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