前回の続きです。

◆第3問 問1 問題番号13
 下線部(a)に関して述べた次の文X・Yについて,その正誤の組合せとして正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。
 X 平氏から没収した荘園を含む関東御領は,幕府の経済基盤となった。
 Y 守護は,天皇や将軍の御所を警護する京都大番役の催促を職務とした。
   ① X 正  Y 正   ❷ X 正  Y 誤
   ③ X 誤  Y 正   ④ X 誤  Y 誤

 半分以下の受験生しかできませんでした。しかも,誤答は①に偏っており,3分の1程度の受験生が選択しました。Yは「天皇や将軍の御所を警護する京都大番役」とあり,将軍の警護は鎌倉番役です。基本的な知識問題で,なぜ間違った受験生が多いのかよくわかりません。「将軍」を見落としたとしても,間違った受験生が多すぎる気がします。


◆第3問 問3 問題番号15
 下線部(c)に関連して,その前後の出来事に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,下の①~④のうちから一つ選べ。
 Ⅰ 元に建長寺船が派遣された。
 Ⅱ 雑訴決断所が設置された。
 Ⅲ 北畠親房が『神皇正統記』を著した。
❶ Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ   ② Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ   ③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
   ④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ   ⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ   ⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ
 見るからに正答率が低そうな問題で,確かに3分の1強の受験生しかできていません。年代順配列問題である上に,ⅠからⅢの事項が近接し,さらにⅠ外交,Ⅱ政治,Ⅲ文化と分野がバラバラであり,教科書でも別の項目でまとめられている内容で難問です。ただ,このような問題こそ「時期区分」がしっかり整理できているかが問われます。できなかった受験生は「用語は知っているけれど…」という状態だったのではないでしょうか。Ⅰは鎌倉時代末期に鎌倉幕府が派遣した貿易船,Ⅱは鎌倉幕府滅亡後の後醍醐天皇による建武の新政,Ⅲは建武の新政崩壊後の南北朝の内乱を背景に南朝の立場で書かれた歴史書です。特にⅡ・Ⅲは「高等学校教科担当教員の意見・評価」にもあるように「相互の因果関係」からも前後関係が判断できます。


◆第3問 問6 問題番号18
 下線部(e)に関連して,室町時代の対外関係について述べた文として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
 ❶ 朝鮮は日本に対し,倭寇の取締りを求めた。
 ② 足利義持は,朝貢形式をきらって朝鮮との関係を絶った。
 ③ 日本は書籍や陶磁器を輸出し,中国から刀剣や屛風をおもに輸入した。
 ④ 水墨画が中国から伝えられ,如拙や藤原隆信らが活躍した。

 この問題は半分ぐらいの受験生しかできませんでした。誤答として④を選択した受験生は2割ほどいますが,藤原隆信の名前は知っていたけど,鎌倉文化で出てくる人物だとわからなかったのでしょうか。やや難易度は高いかと思います。ただ,②を選んだ受験生が4分の1ほどいて,少し驚きです。日明勘合貿易の推移と混同しているのでしょうか。鎌倉時代と室町時代の違い,日明貿易と日朝貿易の違いなど,知識を整理する際に「対比」を意識していないからでしょう


◆第4問 問6 問題番号24
 下線部(d)に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,下の①~④のうちから一つ選べ。
 Ⅰ 宝暦事件において,京都で公家に尊王論を説いた竹内式部が追放された。
 Ⅱ 藤田東湖・会沢安(正志斎)らが,尊王攘夷論を説いた。
 Ⅲ 明和事件で,幕政を批判し尊王論を説いた山県大弐が死罪となった。
① Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ   ❷ Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ   ③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
   ④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ   ⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ   ⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ

 江戸時代の尊王論をめぐる問題で,もっと正答率は下がるかと思いましたが,半分ぐらいの受験生ができていました。誤答はバラバラで学習状況の差が出たのでしょうか。一見,難しいのですが,山川出版社『詳説日本史』では宝暦・天明期の文化と化政文化に分かれていますが,実教出版『日本史B』では文化・文政時代としてまとまっています。参考書類でも「尊王論」というテーマでまとめられているでしょう。テーマがはっきりしている年代順配列は比較的解きやすいのです。

 中世は対外関係に関連する問題が難問となっていました。近世は,今年は対外関係の問題が空所補充1つだったからか,難問が年代順配列問題だけでした。中・近世は例年,対外関係に難問が多いので,注意しておきましょう。