最後は気になった問題をみてみます。

◆第2問 問2 問題番号8◆ ◎教科書掲載史料の問題 

史料 興死して弟武立つ。自ら使持節都督倭・百済・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓七国諸軍事(注1)安東大将軍  倭国王と称す。順帝の昇明二年(注2)、使を遣して上表(注3)をして曰く、「封国(注4)は偏遠にして、藩を外に  作す。昔より祖禰(注5)躬ら甲冑をつらぬき、山川を跋渉して寧処に遑あらず(注6)。東は毛人(注7)を征する  こと五十五国、西は衆夷(注8)を服すること六十六国、渡りて海北(注9)を平ぐること九十五国。……」と。

(注1) 使持節都督倭・百済・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓七国諸軍事:倭以下の七国に対する中国式の軍事行政官の職名。百済~慕韓は朝鮮半島南部の国名。
(注2) 昇明二年:中国の年号。478年。
(注3) 上表:君主に文書を提出すること。
(注4) 封国:領域,自分の国。
(注5) 祖禰:父祖とする説が有力。
(注6) 寧処に遑あらず:一所に落ち着いている暇もない。
(注7) 毛人:東国の人々か。
(注8) 衆夷:西国の人々か。
(注9) 海北:朝鮮半島のことか。


問2 下線部(b)に関連して,前ページの史料について述べた文として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
  
  ① 武は父祖以来,朝鮮半島南部を武力制圧し,中国の支配をめざした。
  ② 武は朝鮮半島南部と同盟関係を結んで,中国を威嚇した。
  ③ 武は中国式の官職名を称して,中国からの独立を主張した。
★④ 武は中国式の官職名を称して,朝鮮半島南部の支配権の承認を要請した。

 正答率は標準ですが,これで第2問では3年連続,教科書に掲載されている史料が出題されました。【参考】にあげた昨年度の山上憶良「貧窮問答歌」は史料を見たことがなかった受験生はできなかった可能性が高く,正答率が低いものでした。教科書に掲載されている史料は今後も出題される可能性が高いので,学習の際に確認しておくようにしましょう。さらに第3問の問3(問題番号15)では,紀伊国桛(かせ)田荘の図が出題されています。山川出版『詳説日本史』,実教出版『日本史B』などの教科書に掲載されている図です。教科書に掲載されている資史料が重要であることがわかるでしょう


【参考】2012年 本試験  問題番号9 

 こうした国家体制のもと,民衆は厳しい税の取立てに苦しんだ。(c)次の史料は,そうした民衆の生活の様子を詠んだ歌である。

  …… かまどには 火気(ほけ)吹き立てず 甑(こしき)(注1)には 蜘蛛(くも)の巣かきて 飯炊(いいかし)くことも忘れて ぬえ鳥の のどよひ居るに(注2) いとのきて(注3) 短き物を端(はし)切ると 言へるがごとく しもと(注4)取る 五十戸良(さとおさ)(注5)が声は 寝屋処(ねやど)まで 来立ち呼ばひぬ ……
(『万葉集』巻第5)

(注1) 甑:米や豆などを蒸すための器。
(注2) のどよひ居るに:細い力のない声を出していると。その前の「ぬえ鳥の」は「のどよひ居るに」にかかる枕詞。
(注3) いとのきて:とりわけ(注4) しもと:むち
(注5) 五十戸良:里長

問3 下線部(c)に関連して,この史料や,そこからうかがえることに関して述べた次の文a~dについて,正しいものの組合せを,下の①~④のうちから一つ選べ。 

 a この歌は,山上憶良が作ったものである。
 b この歌は,東国の民衆が作ったものである。
 c この歌が作られたころの国司は,郡司や里長を通じて徴税を行っていた。
 d この歌が作られたころの国司は,在庁官人を通じて徴税を行っていた。

  ① a・c  ② a・d  ③ b・c  ④ b・d


【参考】2011年 本試験  問題番号10 

  (前略)律令体制が整ったのちも仏教は重視されつづけ,(c)次に掲げる史料の法を契機に,政府は寺院にも大規模な開墾とその田地の私有を認めた。

   詔して曰(いわ)く,「…今より以後,(墾田は)任(まま)に(注1)私財と為(な)し,三世一身を論ずること無く,咸悉(みなことごと)く永年取る莫(なか)れ。其(そ)れ親王の一品(いっぽん)及び一位は五百町,…初位已下庶人(そいいかしょにん)に至るまでは十町。但し郡司は,大領(たいりょう)・少領(注2)に三十町,主政・主帳(注3)に十町。…」

(注1) 任に:意のままに
(注2)(注3) 大領・少領,主政・主帳:いずれも郡司の職名

問4 下線部(c)に関連して,この法とこの法が出されたころの開墾に関して述べた文として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

 ① 開墾を認められた面積には,身分により制限が設けられた。
 ② 開墾された田地は租を納めるものとされた。
 ③ この法の施行ののち三世一身法が発布された。
 ④ 有力な貴族や大寺院は,付近の一般農民や浮浪人を使って開墾を行った。


 以上,今年度の問題の分析を終わります。次回は7月ごろに公表される「試験問題評価委員会報告書」をチェックした感想をあげて今年度のセンター分析を終わります。