お久しぶりでございます。
今回は普段なら書かない記事を。
受験生向けの参考書を正面から批判することは避けていましたが、これは受験生に買って欲しくないと。
細かい項目を一つずつあげると、かなりの量になってしまうので、批判の骨子をいくつかあげます。

1 「出題者の意図…」と銘打っているが、出題者の意図は書かれていないし、また、出題者の意図とも思えない解説が並ぶ。せめて「問題作成部会の見解」(誰でも手に入る)ぐらいは読んだ上で書いてほしい。

2 帯に「150のメソッドを大公開」とある。確かに150項目に整理しているが、同じ方法論が繰り返されている上、メソッドとも言えないようなものもあり、実際は150もメソッドはない。さらに矛盾したメソッドが並列されていたりもする。

3 著者は2009年から出題されていない「3文正誤問題」の分析・対策を繰り返し行っているなど、センター試験の分析をしていないのではないかと思われる。現在は年代整序も6択になり、センター試験はテクニック的な解法を排除し、適切に知識を問う出題を心がけているが、それも意識されていないようである。

4 「このような難問も1割は出る」といいながら、追試験や日本史Aの問題が多数引用される。追試験のほうが難問が多いのは常識だし、また、日本史Bの対策といいながら、パターンの違う日本史Aの問題をBの分析と混同してよいのか。これも著者の分析の不十分さがうかがえる部分である。

5 著者の「センター試験で求められているのは用語の暗記ではない」という主張については同感である。しかし、出題者は用語を知らなくても解ける、とは考えていないだろう。著者は用語は知らなくても解けると強調したいために、受験生に求める知識量を低く設定し過ぎているのではないかと思われる。また、解答ありきの都合のいい解説をしている問題も多数見受けられる。
著者の言いたい、出題者の意図は「この用語は知らなくても(テクニック的に)解ける」ということだろうか。用語を知らなくても解けるのは結果論であって、出題者は解答になる用語は知っておいてほしいと思っているのではないか。さらに重要と思われる用語を知らなくても解けると言ってしまっている項目もあり、この本を読んだ受験生がセンター試験では、用語を覚える必要がないと誤解しかねない。それは日本史で高得点をとる妨げになる。

以上。

(補足)Twitterでつぶやいたため,書き忘れていたことです。
 著者は,「年代整序は年号ではなく時期で解く!」という表紙のアピールで「年代」と「年号」の使い分けが不明確なのをはじめとして,「年号の暗記はいらない」ことを本書のなかでくり返している。しかし,文脈をみると,「年代の暗記はいらない」と言いたいのではないかと思われる。「年号」とは「年につける称号」と広辞苑第六版にあり,「年代」は「紀元からその時点に至る経過した年数。また,紀年のなかにある区切り」と同じ広辞苑にある。
 著者の主張を言葉通りに受け取れば「享保」や「寛政」などの「年号」はセンター日本史Bの攻略に不要だといっていることになる。センター日本史Bの攻略において「年号」を知らないのは問題によっては拙い。また,「年代」を「年号」と間違って書いたとすれば,正しく理解している受験生をいたずらに混乱させる記述であると言わざるを得ない。
 ちなみに「近現代は10年刻みの時期把握で解く!」という主張(これには異論はない)もあり,「年代」の整理が必要なことを示唆している。

特に5は受験生にセンター対策を勘違いして欲しくない部分で、買って欲しくない最大の理由です。
僕の考えるセンター対策はこのブログで記事にしていましたが、ある出版社からまとめる機会をいただきました。現在、執筆中なので、もうしばらくお待ちください。