大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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2013年01月

2013年 センター日本史B 本試験の講評 その2

 今日から数日間,各設問についてのコメントをします。
 大問ごとに簡単なコメントと,設問ごとに簡単にポイントを見ておきたいと思います。例年通り,選択肢を分析してみると,解答に必要と思われる語句の大部分は山川出版社の『日本史B用語集』で教科書11種類のうち,教科書の「頻度⑩前後」でした(以下,頻度・丸数字は山川の『日本史B用語集』とします)。設問の難易度を含めた詳細な分析は例年通り,6月以降にします(業務の都合もありまして…)。正答率がわかると,また,問題の分析が変わってきます。

【第1問】北海道・沖縄の歴史
 私大入試では頻出テーマといえますが,これは想定していなかったテーマ史です。教科書の「歴史の追及(主題学習)」のテーマでは「日本列島の地域的差異」と「地域社会の歴史と文化」にあたるのでしょうか。パラパラと教科書を見ていると,山川『詳説日本史』では「日本列島の地域的差異」で問1の「擦文文化」と「貝塚文化」を扱っていました。三省堂『日本史B』では近世の琉球と蝦夷地の関心について触れており,設問とは直接関係ないですが,「蝦夷錦」の話題があります。山川出版社『高校日本史』では「地域社会の歴史と文化」の項目で,「琉球王国」がテーマになっていました。難易度は標準的でしょう。

問1.アの解答となる「擦文文化」は頻度③で,教科書にはあまり載っていない用語となりますが,誤答となる「貝塚文化」が頻度⑩なので,消去法で解けるでしょうか。センターにしては珍しく,消去法を前提とした,用語頻度の低い用語を選ぶ問題です。

問2.松前藩についての問題。商場知行制は頻度⑧で,山川『詳説日本史』や実教『日本史B』などでも説明されています。江戸時代の松前氏の蝦夷地支配について理解していれば,①②④の誤文が比較的はっきりしているので,解きやすい問題でしょう。

問3.地図問題ですが,センター試験らしい問題です。要はbが千島列島で,cが樺太だと判断するだけです。択捉島がどこかまでは考えなくてもよいのです。dのカムチャッカ半島はともかく,さすがにaの利尻島まではわからないでしょう。

問4.那覇は,用語としては頻度④でセンターの出題としてはかなり低いのですが,図を読む問題,いや,図を参考に「脚注を見れば」解ける問題です。時にセンターの史料問題などでは脚注で解けるものがあります。知識がなくても,選択肢と図・脚注を丁寧に見比べれば解答が出ます。上里隆史『海の王国・琉球』(洋泉社)で港湾都市・那覇について,ほぼ同様の話題がありました。

問5.選択肢dは沖縄県の旧慣温存策についてで,やや難問かとも思いますが,正答率を見てみないとわかりません。「旧慣温存策」という語句は頻度③ですが,沖縄で,地租改正や衆議院議員選挙法施行などが遅れたことについては山川『詳説日本史』,実教『日本史B』でも触れています。

問6.現代史なので,学習が行きとどいていない受験生には難問だったかもしれませんが,①の沖縄戦,②の日米行政協定,③の祖国復帰運動,④のベトナム戦争と各選択肢のポイントになる語句(内容)はいずれも頻度⑪です。

【第2問】原始・古代の政治・宗教・文化

 原始は誤文の選択肢(問1-b)でしか出題されませんでした。原始を出さないのか,出せないのか,よくわかりませんが,選択肢単位では出題しているので,学習はしておかなければいけません。問5の年代順配列も奈良時代の政変がテーマで解きやすかったでしょう。難易度は標準的です。

問1.「古墳時代前期」としていますが,「前期」は判断しなくていい問題です。近年のセンターの出題通り「古墳時代」で判断できます。bは過去の問題の類似パターンで「銅鐸」(頻度⑪)が弥生時代だと分かれば,誤文と判断できますが,意外に正答率が低いかもしれません。dは「横穴式石室」の時期判断でもいいのですが,「埴輪を副葬」で誤文と判断できるでしょう。

問2.教科書掲載史料の出題です。この傾向はしばらく続くかもしれません。設問の意図としては中国(宋)の皇帝に朝貢して,皇帝の臣下として官爵を得ようとしたことが分かれば①~③が誤文だと判断できるので,倭王武の遣使についての知識があった受験生にとっては簡単だったでしょう。ただ,脚注を大量に付けているし,設問から「史料読解問題か?」とも思われるのですが,史料を知らなかったとすると,「安東大将軍と自称」したことと,「父祖が国内・朝鮮半島を平定した」ことしか書いていないのです。着目する点は「上表」の注釈に「君主に文書を提出すること」とあるので,史料から順帝=中国皇帝を「君主」としていることが判断できれば,史料と脚注から①~③が誤文と分かると思います。基本的には倭の五王の知識があれば解けるので,正答率は高いとは思うのですが,昨年度の山上憶良の貧窮問答歌の史料に関する問題は,意外に正答率が低かったのでどうでしょうか。

問3.これはXの選択肢の5世紀ごろの「大和・河内の大規模古墳」で全国第1位の規模の大仙陵古墳(頻度⑪),第2位の誉田山古墳(頻度⑩)が想起できれば簡単です。

問4.アの解答,称徳天皇は頻度⑪,元明天皇は頻度⑩,イの金剛峯寺は頻度⑪と基本問題です。平安初期の仏教は2011年にも出題されています。

問5.年代順配列問題ですが,奈良時代の政変という最も基本的な政治史なので,正答率は高いと思われます。「Ⅲ長屋王の変→Ⅱ藤原広嗣の乱→Ⅰ橘奈良麻呂の変」です。

問6.平安初期(桓武~嵯峨朝)は,「令外官と格式」というセンターでは定番の出題がポイントになっています。「桓武天皇-勘解由使」「嵯峨天皇-検非違使」の使い古された選択肢のパターンで②が誤文と判断できます。

 次回は第3・4問です。

2013年 センター日本史B 本試験の講評 その1

 センター試験を受けた受験生の皆さん,おつかれさまでした。明日以降,私大,2次に向けて最後までがんばってください!
 
 今日から数日にわたって,2013年度のセンター日本史B本試験の講評をしたいと思います。受験が終わった人のため,というよりは,次年度の受験生に向けてのアドバイスを兼ねて,設問講評をしたいと思います。今後の学習に活かしてください。もちろん,受験が終わって気になる人も読んでください。
 今日はとりあえず,全体についての簡単なコメントです。

◆問題形式
正誤問題 24問(4文=13問 2文=6問 組合せ=5問)
空所補充 7問
年代配列 3問
その他  2問(地図),※史料2問,表・グラフ2問,図版3問(他設問と複合)
合計    36問

 問題形式については,文章選択(正誤)問題が7割弱と例年並みですが,今年の変化として年代順配列問題が若干減り(近現代での出題がありませんでした),その代わり地図・グラフ,図版の読解問題が増えました。史料はここ2年続いていた教科書掲載史料(第2問・『宋書』)1題と,初見史料の読解問題(第4問・生類憐れみの令)が例年通り1題ずつ出題され,これも例年並みでした。地図は東アジア(第1問)のみではなく,今回は東南アジア(第6問)まで出題されました。表・グラフの問題(第4問・第5問)は,前提となる知識を必要としますが,表・グラフのデータを丁寧にチェックすれば解答できました。また,図版の問題は第1問(問4),第3問(問3甲)が図の読解で解答できるので,知識問題ではありません。

◆時代・分野 ※選択肢単位でチェック
時代 原始=1 古代=20 中世=20 近世=24 近代=35 現代=12
分野 政治=35 外交=28 経済=22 文化=27

 選択肢単位で確認してみましたが,時代については今年も原始の単独問題が出題されませんでした。他については大問構成を見ても,近現代が多めで例年通りの構成といえます。小問で現代史の出題といえるのが3問で,これも想定の範囲内です。一部,1990年代にかかる選択肢もありましたが,難問ではありませんでした。
 分野については,政治史がやや多めですが,今年は対外関係(外交)に関連する設問(選択肢)が多く,バランスの取れた設問構成になっていました。文化史の問題といえる小問は6問程度で,これも近年の傾向からすると,想定の範囲内です。
 時代・分野ともにバランスの取れた出題といえるでしょう。

◆難易度
 やや難問かと思われる問題もありましたが,その分,史資料だけで解ける問題があり,年代順配列問題が減少して簡単になったことを考慮すると,昨年並みの平均60点台と推測できます。

 以上です。明日からは,いよいよ設問ごとの講評をしていきます。
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