大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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2012年06月

2012年 センター日本史B 本試験 設問分析~その7~

 今回は現代史の問題です。

◆第6問 問6 問題番号34 ◎占領政策とその転換

問6 下線部eに関連して,占領期の公職追放とその解除について述べた文として正しいものを,次の①~④のう
 ちから一つ選べ。

  ① GHQは,保安条例を発令して軍国主義的な教員を追放させた。
  ② 朝鮮戦争に参戦するため,追放を解除された旧軍人らを中心に保安隊が新設された。
   ③ GHQは,日本共産党幹部の公職追放を指示したが,朝鮮戦争が始めると国内安定のために解除した。
 ★④ 1950年代には,追放を解除された政治家を首班とする内閣が生まれた。

 半分ぐらいの受験生しかできなかったと思われる問題です。誤答は③と①が多かったようです。①を選んだ受験生は保安条例を知らなかったのでしょうか。自由民権運動のなかで出された弾圧法令の一つで,大きく時代がズレています。③は第二次世界大戦前からの「日本共産党の弾圧→政治犯釈放→レッドパージ」という展開と朝鮮戦争との関係がわかっていなかったのでしょうか。ある意味,この問題は太平洋戦争前から戦後の展開を理解しておく必要のある問題です。④は鳩山一郎を想起できればいいでしょう。
 

◆第6問 問8 問題番号36 ◎戦後の疑獄事件と内閣

問8 下線部bに関連して,第二次世界大戦後の疑獄事件に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年
 代順に正しく配列したものを,次の①~⑥のうちから一つ選べ。

Ⅰ 米航空機の売り込みをめぐる収賄疑惑により,前首相が逮捕された。
Ⅱ 昭和電工事件が発覚して,片山哲内閣から2代続いた3党連立内閣が倒れた。
Ⅲ 造船疑獄事件をめぐって首相への批判が高まり,戦後初の長期政権が崩壊した。

  ① Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ     ② Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ     ③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
★④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ     ⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ     ⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ

 解答は④ですが,誤答はいろいろありました。現代史を学習していれば簡単だったのではないでしょうか。Ⅰはロッキード事件で,「前首相」は田中角栄です。Ⅱは昭和電工事件に片山哲と内閣名も出ています。Ⅲは造船疑獄事件は知らなかったとしても,「戦後初の長期政権」で吉田茂内閣(第2次~5次)とわかればできるでしょう。
 いずれも基本事項ですが正答率は低めに出ていたようです。

 実は,参照していませんが,問題番号35の「55年体制下の政治」についても正答率はそんなに高くなかったのです。
 ここから推測するに現代史を「学習した受験生」と「学習していない受験生」の差がでたのではないでしょうか。選択肢に出ている事項はすべて教科書にある基本的な事項です。問題が難しくてできなかったとは考えにくいところです。つまり,現代史は学習さえすればできるような問題が多いと言えます。現代史まで学習が届かない受験生(特に現役の高校生)は意外に多いのではないでしょうか。
 今年度の現代史問題は4問で配点は合計11点です。落とすと痛いですね。センター試験における現代史整理のポイントを整理しておきます。

〈現代史整理のポイント〉
1.1993年=55年体制崩壊まで学習しておくこと。
2.整理の際に,占領期,1950年代,1960年代,1970年代,1980年代,1990年代に分けて,各時期の特徴を大づかみすること。
3.2を意識しながら,内閣ごとの主要な出来事が列挙できること。
 この3点を意識しながら,現代史は整理してください。センターの出題に即した整理になります。

 以上,今回で2012年度のセンター日本史Bの分析を終えたいと思います。

2012年 センター日本史B 本試験 設問分析~その6~

 今回は昭和初期の政党政治の時代の問題です。

◆第6問 問2 問題番号30 ◎立憲民政党内閣について
問2 下線部a(立憲民政党)に関連して,この政党を中心とした内閣が政権を担当していた時期の外交に関して述 べた次の文a~dについて,正しいものの組合せを,下の①~④のうちから一つ選べ。

 a 海軍内部の反対意見をおさえて,ロンドン海軍軍縮条約に調印した。
 b ワシントン海軍軍縮条約に調印して,協調外交の基礎をつくった。
 c 満州事変が起こると,不拡大の方針を決定したが,関東軍による戦線の拡大をおさえられなかった。
 d 満州事変を調査したリットン報告書にもとづく国際連盟の勧告を拒否して,連盟を脱退した。

 ★① a・c     ② a・d      ③ b・c     ④ b・d

 解答は①なのですが,②・③あたりの誤答も多く,どこができなかったということではないようです。ただ,受験生が苦手とする「政党」を軸にした判断が求められます。
 結局は「立憲民政党」内閣が浜口雄幸・第2次若槻礼次郎内閣の2代だと分かれば,aのロンドン海軍軍縮条約が浜口内閣,cの満州事変の勃発が第二次若槻内閣となります。bは立憲政友会の高橋是清内閣,dは斎藤実内閣でのできごとなので誤りです。できない受験生が比較的が多かったのは「政党の整理」が頭の中でできていなかったのでしょう。
 明治の後期から昭和初期にかけては「内閣名+基盤となる勢力」をしっかり押さえておきたい。特に政党の変遷は「2大政党」で考えればよい。

◎自由党系…自由党→憲政党→立憲政友会
◎改進党系…立憲改進党→進歩党→憲政党→憲政本党→立憲国民党→立憲同志会→憲政会→立憲民政党

 整理のヒントだけですが,特に大正時代以降は重要なので,変遷をしっかり覚えておきましょうう。
 政党内閣期の問題は近年も頻出です。以下の問題も,比較的に正答率が低かった問題なので,参考にしてください。

【参考】2009年 本試験 第6問 問題番号30(抜粋) A (前略)
 その後駐米大使としてアメリカに赴任した幣原は,ワシントンで実施された国際会議において全権の一人とし
て出席し,(b)海軍軍縮および中国大陸・太平洋における列強諸国との権益調整に尽力した。

問2 下線部(b)に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,以下の①
~⑥のうちから一つ選べ。 30
Ⅰ 国策の手段としての戦争の放棄を約した不戦条約に調印した。
Ⅱ 補助艦の総保有量(トン数)を英・米の約7割とすることに合意した。
Ⅲ 主力艦保有量(トン数)を英・米の5分の3に制限することに合意した。

 ① Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ  ② Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ  ③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
 ④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ  ⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ  ⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ


【参考】2011年 本試験 第6問 問3 問題番号31
問3 下線部bに関連して,この時期の経済に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正し く配列したものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

 Ⅰ 浜口雄幸内閣によって金解禁が断行されたが,同じころ世界恐慌が日本にも波及した。
 Ⅱ 片岡直温蔵相の失言をきっかけに,金融恐慌が起こった。
 Ⅲ 関東大震災により,決済不能になったとみなされる震災手形が現れた。

  ① Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ   ② Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ   ③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
  ④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ   ⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ  ★⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ

 両設問とも,政党内閣に関連する問題の上に,年代順配列問題だったこともあり,正答率が低かったのでしょう。
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