大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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2012年01月

2012年 センター日本史B 本試験のコメント

 センター試験で日本史Bの問題を解いたので簡単なコメントをします。今後,様々なデータが手に入ってから次年度のセンターに向けての本格的な分析をしていきます。( )内は解答番号

 全体としてはやや難化したのかもしれません。センターとしては微妙な判断をさせる問題(3・18・19),用語や内容を考えてから正誤・年代の判断をする2段階以上の思考が必要な問題(5・11・13・16・30・31・36)がやや多く,歴史用語の暗記で解ける問題が多かったような気がします。一方で,受験生が苦手な文化史やそれに関連する問題(1・2・3・4・10・17・21・31)や,現代史の問題(3・34・35・36)は想定の範囲内の出題数で昨年並みと言えるでしょう。久しぶりに第5問が外交史らしいテーマでしたが,全体としては外交史は例年並みで,社会経済史がかなり多かったと思います。
 史資料の問題(9・11・17・20・25・27・28)は,直前にブログでアドバイスしたように図版や史料の理解や読解を必要とする問題でした。時期の判断を中心として解ける問題は設問にして14題と最も多くを占めています。そのうち,受験生が苦手とする年代順配列問題(3・16・21・36)は若干減っていました。ちなみに文章選択(正誤)問題は設問数で22問あり,語句との組合せを入れるともっと多くなります。
 実際,どの設問が正答率の低い難問であったかは,データを見てみないとわかりませんが…。次に大問ごとのコメントです。

第1問 文化財とその保護
 僕の嫌い(笑)な会話形式の問題です。出てくる高校生が歴史をよく知りすぎ(笑)
 テーマとしては,2007年の日本史B本試験と似たような出題で,原爆ドーム・世界遺産も出題されています。やはり「過去問が最高の予想問題」です。教科書では,主題学習「歴史の考察」にある「資料をよむ」「資料にふれる」などを意識した出題でしょう。実教出版『日本史B』では,「原爆ドームと保存活動」が扱われています(ただし,教科書によって内容は違います)。教科書を隅々まで確認することは重要です。小学唱歌・ラジオ放送(2),原爆ドーム・世界遺産(3)などセンター試験らしい出題ですが,過去問をやっていた受験生には簡単だったでしょう。

第2問 古代の政治・社会・文化
 今年も原始は出ませんでした。出題しにくいのでしょうか?近年は積極的に社会・経済の出題(7・8・9・11)をしている感じがします。2011年度も初期荘園など土地制度はしっかり出題していました。選択肢単位では2年連続出ていますね。問2(8)は「木綿の衣類」が江戸時代だとわかればよかったのですが,できたでしょうか?また,問5(11)は図版の読み取りで,「乙巳の変」が判断できたかと思ったのですが,山川出版の日本史B用語集では頻度⑧でした。おそらく正答率は高いでしょう。Yは西暦年を世紀に直せなかった人(笑)は間違ったか。

第3問 中世の政治
 問2(14)の御成敗式目は直前講習でもやりました。過去問どおりの出題です。 問4(16)の年代順配列は選択肢Ⅱの「懐良親王」は山川の用語集でも頻度が低い用語で,一見,難問ですが,時期を判断するポイントは「倭寇の取締りを要求」のほうでしょう。Ⅱ倭寇の禁圧要求→Ⅲ「源道義(足利義満)」を「日本国王」(日明勘合貿易の開始)→Ⅰ足利義持の貿易一時中止という流れがわかればいいでしょう。「懐良親王」を判断する必要はありません。問6(18)はセンターにしては微妙な判断を要求する問題ではないでしょうか。「北条氏康」と「北条早雲」の判断を求めています。センターの戦国大名の出題は「〇〇氏」の判断が過去の出題の基本です。追試験ではあったのですが,ちょっと細かい出題ですね。

第4問 近世の政治・社会
 江戸時代は社会経済が中心という従来通りの出題です。過去問を丁寧にやっていた受験生はできたでしょう。問1(19)の「農業全書」はやや難問か。空欄アのヒントには「17世紀後半に成立した」しかなく,宮崎安貞という著者がなかった。大蔵永常の「広益国産考」は「19世紀初」なのでそこの判断ができたか。センターは「時期を判断」するものですが,やや細かく正答率引くいかもしれません。問2(20)は,出ました!出ました!「江戸時代の農具の図版がそろそろ…」って直前講習でいったでしょ?ただし,数年前から言い続けてましたが…。問3(21)はやや難問でしょうか。Ⅱ「木下順庵」「雨森芳洲」とⅢ「林羅山」の判断ですかね。Ⅱの「朝鮮外交に尽力」はヒントになっていないでしょう。

第5問 明治期の日本の領土とその支配
 久しぶりに外交史らしい問題でしょうか。問1(25)の地図問題は「樺太」と「台湾」の判断ですが,過去のセンターの地図問題の正答率から考えると,「簡単だ」とは言えないですね。特にY-cdの判断はできたでしょうか。問2(26)はセンターにしてはせこい問題で悪問だと思います。②の誤文判断はいいとして,①「西郷隆盛を朝鮮に派遣し」④「日本」と「清国」の入れ替えと微妙な判断ですね。もしかしたら正答率が低いかもしれません。問3(27)はグラフの読み取りのみですが,第一次世界大戦期と昭和恐慌期は年代の判断が必要です。これぐらいの時期は判断できるでしょうか。問4(28)は①以外は史料の読み取りで判断できます。

第6問 市川房枝とその時代
 センターは近代人物シリーズを定着させましたね。来年の人物を予想しないといけない(笑)
 問1(29)の「治安警察法」と「治安維持法」は意外に間違った受験生が多いかもしれない。リード文の西暦年での判断は可能だと思いますが,知らないとやや難問かもしれません。問4(32),問5(33)の戦時体制や太平洋戦争期の国民生活はセンターの定番です。過去問を丁寧にチェックしていた受験生はできたでしょう。問7(35)は,文章はわかりにくいのですが,時期の判断だけです。惑わされなければ簡単でしょう。問8(36)は難問でしょう。Ⅰはロッキード事件か,田中角栄かどちらかはヒントとしてあった方がよかったかもしれません。というか,「米航空機の売り込みをめぐる収賄容疑」でわかるのでしょうか?Ⅲ「造船疑獄事件」に意識がいくと,センター中心の学習をしていた受験生は知識がなかったかもしれません。出題者は「戦後初の長期政権」=吉田内閣をポイントにしていると思いますが,Ⅱの「昭和電工事件」「片山哲内閣」しか,明確な用語がないので,できない受験生が多かったのではないでしょうか。ただ,過去問をやっていた受験生は「疑獄事件」が過去に出題されていることは気づいたでしょうか。やっぱり過去問ですね。

 以上,初見で気づいたコメントです。今後,様々なデータが集まってくるので,見解が変わる問題も出てくるかもしれません。
 よい結果が出た人も,残念な結果だった人も,気持ちを切り替えて,次の私大・国公立二次試験に全力を傾けてください。
 

センター試験に向けて ~僕の授業を受けていた人々へ~

 受験生にとっては嫌な(笑),ブログについているカウンター「センター試験までの残り時間」もとうとう「0」になってしまいました。いよいよ明日から試験が始まります。

 今回は今年4月から僕の授業を聞いてくれた受講生へのメッセージです。
 今まで授業をしっかり聴いて,それなりに授業の復習をしてきたのであれば,センター試験において,知らない歴史用語はほとんど出題されないはずです。出題されている内容は知っているか,聴いたことがあるはずです。落ち着いて自分の頭の中の知識を検索して考えてください。特に図版や史料問題は正答率が比較的高く,難問は少ないのです。図版や史料に惑わされず,冷静に考えれば必ず解けるはずです(地図問題は例外,知らないとできない)。日本史では時間が足りなくなるということはまずないでしょう。
 その際に以前からくりかえし指摘していますが,センター試験は「いつのできごとか?」というのが最大のポイントです。そして,文章選択(正誤)問題においては,誤文を探し,誤りがないものが正文です。

 ★正誤問題→「設問で問われている時期」と「選択肢の中の歴史用語・内容」のずれ=誤文 
 ★年代順配列問題→Ⅰ・Ⅱ・Ⅲそれぞれ「いつ」の出来事か?(西暦年ではない!)

 もちろん,空欄補充のような知識問題や,歴史用語と内容のずれなどもありますが,迷ったらまずは時期の確認からです。時期が正しいなら,次に内容の検討をしてください。
 ほとんどないと思いますが,知らない歴史用語・内容が出てしまったらすっぱりあきらめて次の問題に取り掛かる。知らない歴史用語・内容は正誤の判断・時期の判断はできません
 今までの繰り返しで,変わったアドバイスはできませんが,参考にしてください。後は自分の今までやってきた勉強を信じるだけです。
 
後は合格するだけです!
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