大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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2011年09月

センター日本史B 本試験 難問集(2010~2006) ~近世編 その2~

 前回の続きです。問題や解答・解説は「データ集」にあります。

(5) 2008年 本試験 第4問 問2  20 内容から時期を判断する年代順配列

 この問題は,半分弱ぐらいの出来だったでしょうか。解答がわかった受験生と,わからなかった受験生の差が大きかったのではないでしょうか。Ⅰは「銀座の開設」とあるし,江戸時代初期だろうという推測は容易にできたと思いますが,Ⅱ・Ⅲは,知識があいまいだった受験生は何のことかもわからなかったでしょう。判断する時期の幅は大きいので,江戸時代の貨幣の流れを理解していれば簡単な問題です。理解を問うという意味では良問でしょう。

(6) 2008年 本試験 第4問 問5  23 3文の正誤問題

 この問題は半分程度の出来で,正解は①ですが,②の誤答が多かったようです。Yを誤文と判断して間違った受験生が多かったようです。江戸時代に琉球王国が薩摩藩の支配下にあったことは,わかっていたと思いますが,「琉球を通じて中国との密貿易」の「中国との密貿易」という表現で引っかかったのでしょうか?薩摩藩が「琉球との密貿易」で利益を得たことは,藩政改革などから知っている受験生は多いと思いますが,「中国との…」となると,受験生は戸惑うのでしょう。やはり,江戸幕府が「鎖国」体制の中で,海外とどのようにつながっていたかをしっかり理解する必要があります。

(7) 2006年 本試験 第4問 問4  23 知識を問う正誤問題

 この問題は半分程度の出来だったようです。江戸時代は,どうしても社会経済に関する問題が多くなりますが,苦手な受験生が多いのでしっかり学習してほしいところです。この問題は,単なる知識問題といっていいでしょう。しかし,受験生にとっては,②納屋物と蔵物,③河村瑞賢と角倉了以など紛らわしい語句を利用した問題です。④はやや細かい内容を問うているようにも思いますが,①の茶が開国した後の主要な輸出品であることを知っていれば問題ないでしょう。いずれにせよ,しっかり知識の整理をしておいてほしいところです。差が付く問題といえるでしょう。

(8) 2006年 本試験 第4問 問6  24 文化史の知識を問う正誤問題

 この問題は半分弱ぐらいの受験生しかできていなかったと思われる問題です。誤答は割れていたようなので,学習の差がはっきりついたのではないでしょうか。④が誤文なのですが,センター試験にしてはめずらしく,著書や思想の内容で正誤の判断をさせています。センター試験の文化史に関する多くの問題は,基本的に「時期の判断」が,「作品-作者の判断」かのいずれかになります。そういう意味では,一問一答の暗記知識を中心とする学習をしていたのではわからなかったのかもしれません。しかし,山鹿素行が活躍した時代は元禄文化=江戸時代前半だと考えれば,「貿易拡大=開国貿易論」が出てくる時期ではないと推測できるのではないでしょうか。高度な判断を要求しているとは思いますが,通史を学習するということはそういうことだと思います。ただし,「作品-作者」を覚えなくてもいいということではないので,誤解しないでください。

(9) 2008年 本試験 第1問 問5  5  時代の幅を広くとった正誤問題

 この問題の正答率は半分以下だと思われます。③の誤答が若干多かったようですが,神道に仏教の影響があることを理解していなかった受験生が多かったのでしょう。やはり,神仏習合を理解せずに一問一答で覚えているだけでは不十分だということがわかります。ただ,この問題は④が明らかな誤りなので,③の唯一神道に関する知識がなかったとしても,正解は出せるはずです。神仏習合に関連する問題はセンター試験では頻出です。過去問をしっかり解いていけばわかるでしょう。

 今回は以上です。

 



 



 






 

センター日本史B 本試験 難問集(2010~2006) ~近世編 その1~

 「データ集」にセンター日本史B難問集の近世編の解答・解説をアップしました。今回は近世編の分析です。

(1) 2006年 本試験 第4問 問2  20  3文の正誤問題

 この問題は,江戸時代の農民についての問題ですが,③が正答ですが,正答率はかなり低かったと思われます。④の誤答がかなり多く,Yの判断で誤った受験生が多いのは明らかです。山川出版社の『詳説日本史B』には,離縁状とも三行半とも記述がありませんし,Yの判断ができるほど授業では話をしない先生が多いでしょう(私もそうです)。受験生にすれば,本当に初めてに近い内容で,考える材料もなかったのではないでしょうか。ちなみに三行半についてはブログの記事「三行半(三下り半)で再婚が認められたのか? 」を参考にしてください。

(2) 2007年 本試験 第4問 問6  24  時期の判断と見せかけて内容の判断

 正答率はかなり低かった問題です。しかし,この問題はちょっとずるいですね。ウの人物(三井高利)の生きた時期は,リード文から(1622年→1694年)ほぼ17世紀とわかるので,ウがわからなくてもよいのですが,X・Y・Zとも,17世紀のできごとに該当します。「~時代の出来事」というからには,時代の判断ができる選択肢を入れて欲しいものです。「時代」を考えていた受験生が悩んだのではないかと推測しています。また,XとZの判断に迷った受験生が多いと思われますが,特にZの「高山右近の旧領」というのを判断させるのは,センター試験の出題としては細かい内容ような気がします。

(3) 2006年 本試験 第4問 問4  22  空欄補充問題

 この問題の正答率は半分を切る程度だったと思われますが,やはり国訴がわからな以受験生が多かったようです。リード文には,「木綿や菜種の流通独占に反対して…」とあるので十分なヒントはあったと思いますが,受験生は国訴をどう理解しているのでしょうか?少しヒントが少なかったのかもしれません。また,山川出版社の『詳説日本史B』には国訴の記述がなく,山川『日本史B用語集』によれば,用語頻度⑦と知らない受験生が多かったのかもしれません。問題の内容から考えても,悪問だとは思えないし,重要な内容だと思うのですが。

(4) 2010年 本試験 第4問 問5  17  文化史的な内容の年代順配列問題

 この問題も,できたのは半分弱の受験生だと思われます。文化史と年代順配列という受験生にとっての難問が2つ重なれば,正答率が低いことは予想できます。どうしても文化史は一問一答の暗記知識の詰め込みになりがちだと思います。それが大きな問題ではないでしょうか。洋学(蘭学)の発達を流れとして理解できていない受験生が多かったと思います。2011年度の第4問の問6も,洋学の理解が出来ていなかったことが原因で正答率が低かったと考えています。文化史をいかに理解するかは課題です。

参考 2011年 センター日本史B 本試験 ~設問分析 その4~    
    2011年 センター日本史B 試験問題評価委員会報告書について~「問題作成部会の見解」を中心に その2~ 

今回はここまでで,続きは次回にします。  








 
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