大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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坂上康俊著『平城京の時代』(シリーズ日本古代史④)の感想

 坂上氏の著書は,以前読んだ『律令国家の転換と日本』(日本の歴史05・講談社)が平安時代前期(主に9世紀)を対象としており,社会・経済を中心として参考になりました。今回は奈良時代(主に8世紀)対象としているということで楽しみにしておりましたが,期待通りであったように思います。
 中でも,社会・経済と対外関係については,教科書を理解するための参考になります。特に律令制下の軍事体制と地方支配については,以前の著書でもそうでしたが,わかりやすかったと思います。中央の官制や政治面での記述はあっさりしており,物足りない感じもしましたが,新書ですべてを求めるのは無理でしょう。
 講談社の通史シリーズも,時間があればもう一回読み直したいと思います。

河内祥輔・新田一郎著『天皇と中世の武家』(天皇の歴史04)の感想

第1部 鎌倉幕府と天皇 河内祥輔
 時期としては,院政期から鎌倉幕府滅亡までを扱っています。
 河内氏は,平安時代以降,天皇と摂関が協調し,貴族全体がそれを支持する,という形こそが朝廷にあるべき姿とみなされ,「正統」の天皇が立つときに朝廷は秩序が安定するというのですが,院政期から鎌倉時代にも同じことが言えるのか?と思うと納得はできませんでした。「正統」の天皇が立って朝廷が安定したというのは結果論ではないのかなあ…。

第2部 「古典」としての天皇 新田一郎
 時期としては,建武の新政から応仁の乱後までを扱っています。
 新田氏の文章はむずかしいのですが,室町時代の公家と武家の関係の推移がわかったような気がします。室町時代の天皇・公家は授業ではほとんど扱うことがないので,考えるいい機会になりました。特に足利義満政権において、単純に武士達が公家政権に優位にたち、支配したということではなく、武士を従える義満が、公家政権の頂点に立ち、公家社会の方法で武士達の持つ武力を組織化したというのは,あまりイメージになかったので今後の参考にしたいと思います。
 第2部は面白かったですね。
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