大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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細川重男『鎌倉幕府の滅亡』の感想

 だいぶ前に購入していたのですが,天皇の歴史04を読み,鎌倉時代が気になってきたので読みました。対象としているのは,鎌倉幕府成立から鎌倉幕府滅亡までです。
 とにかく,御家人制(武士団の構造含む),鎌倉幕府の職制,訴訟制度,得宗専制とその展開については,非常にすっきりしました。教科書の内容がわかりにくいところだけに,理解の助けになるような,あるいは講義の組み立ての参考になりそうな話題がたくさんありました。特に興味深かったのは,鎌倉幕府の支配階層の家々についての整理です。これこそ,教科書では書かれていないことなので,役に立ちそうな内容でした。
 しかし,主題である鎌倉幕府滅亡の原因として,鎌倉に居住する幕府内の特権階級(「武家の貴族」と定義)が,実態に即した対応である地方分権体制に移行せず,中央集権体制を維持することにこだわったことがあげられており,これは初めて聞いた視点です。とはいっても,結局授業では,社会の変化,後醍醐天皇の個性,幕府支配層に対する武士の不満と鎌倉幕府滅亡となるのでしょうか…。

藤井譲治著『天皇と天下人』(天皇の歴史05)の感想

 藤井氏は京都大学の教授で,以前から入試問題研究の点からも,気になっていたのですが,著書でまとまったものは読んだ記憶がなく(いろいろ積んでありますが…),今回のものがはじめてでした。内容は織豊政権から江戸幕府成立(徳川家康)までが対象でした。
 実際読んでみると,天皇・朝廷と織田信長・豊臣秀吉との関係について,如何に知らなかったかが,よくわかりました。確かに教科書では,大きく取り上げられるテーマではないのですが,今後は注意しておこうと思いました。また,朝鮮侵略についても,参考になる記述はたくさんありました。
 内容面は,天皇・朝廷と武家の関係に絞られており,実際に受験指導で気になる太閤検地などの定番のテーマについてはほとんど触れられていないし,近年,著者が教科書にある「惣無事令」について否定しているとも聞いていたので楽しみにしていましたが,その点についても触れられていませんでした。「天皇の歴史」なので,仕方がないのでしょう。
 藤井氏については,他の著書も読んでみたいと思います。
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