大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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『日本史 史料問題集』駿台日本史科編(駿台文庫)

 今回は,自分も編集に関わった史料問題集を紹介します。
 言うまでもなく,日本史では多くの大学で史料問題が出題されます。にもかかわらず,史料問題を苦手とする受験生も多いことでしょう。史料問題を攻略するためには,正しい日本史の知識と慣れです。この史料問題集は,第1部は「必読史料の攻略」として,頻出史料を40のテーマに分け,各テーマごとに知識の整理をしつつ,実戦的に3~4種類の史料をチェックできるようにしてあります。問題が少ないように思われるかもしれませんが,各史料のポイントになる部分を必要最小限に絞って抜き出してあるので,効率よく史料のチェックができます。多ければいいというものではありません。また,第2部では,受験生が苦しむ「初見史料の対処法」を提示しています。初見史料は事前に学習できないので,その場で処理する能力が求められます。その考え方ををまとめてあります。これを参考にまずは,自分が受ける大学の過去問で,練習してみてください。必ず解けるようになるはずです。
 この問題集の使用時期ですが,薄いので一気に出来るというメリットがありますが,受験直前に慌ててやるというのはお勧めしません。やはり,普段から授業を受けた後の復習用としてじっくり問題を解くのがベストだと思います。また,途中でもふれましたが,この問題集をやって安心することなく,必ず過去問を仕上げとして解いてくださいね!

日本史史料問題集 (駿台受験シリーズ)
日本史史料問題集 (駿台受験シリーズ)

早島大祐『室町幕府論』(講談社選書メチエ)の感想

 『天皇と中世の武家』(天皇の歴史04)の新田一郎氏の室町時代の部分が気になっていたので,すでに購入済みで読めていなかったこの本を手に取ってみました。内容は足利尊氏による幕府成立から4代将軍の足利義持までです。
 室町幕府について財政史的観点から見るという今までの自分には無かった観点から論じられており,非常に興味深く読めました。特に注目した点は2つあります。高校教科書では常識的に書かれている室町幕府による朝廷の京都市政権吸収について否定していること,もう一つは近年注目されているようですが,足利義持時代の評価です。
 京都市政権の問題については,現状の教科書を考えると,そのまま授業では使えませんが,その過程で出てきた土倉酒屋役の説明が非常にわかりやすく,当時,京都を中心とする経済がどのように発展していたのかが理解できました。
 また,足利義持時代については,従来,足利義満の時代が室町幕府の支配体制の確立期と考えられていたと思いますが,公武の支配が制度的に確立・安定するのは足利義持の時代だと。これは今年度(2011年)の東京大学の第2問の「…室町幕府が最も安定していた4代将軍足利義持の時期(1422年)における,鎌倉府の管轄および九州をのぞいた諸国の守護について,…」という設問文が思い出されました。研究で素人の予備校講師としては,近年,研究者が注目していることがわかっただけでもよかったと思います。これも,教科書の扱いを見ると授業では直接的に使えるネタではありませんが…。
 その他,社会・経済や文化・外交の側面でも,教科書の理解につながり,授業の参考になるような話題が盛りだくさんで,参考になるところが多かったように思います。
 僕としては満足感の高い本でした。
 
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