大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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本郷恵子『将軍権力の発見』(講談社選書メチエ)の感想

 今回は早島大祐『室町幕府論』を読んだので,続けて同時代のものを読もうと思いました。対象の時期は鎌倉時代から足利義満の時代ですが,中心は室町幕府です。本郷恵子氏の『京・鎌倉 ふたつの王権』(小学館 日本の歴史6)も以前読んでいましたが,なぜか内容が記憶に残っていません…。
 早島氏は,財政史の面から室町幕府を論じていましたが,本郷氏は鎌倉幕府と対比しつつ,室町幕府の将軍権力について論じていました。鎌倉幕府が将軍を形骸化して法や合議による公正な政治をめざしたのに対し、室町幕府では、義満の権力伸長により守護大名権力の上位に立つ将軍権力が確立して、地域と中央政権との均衡・全国レベルの統制を保つ核になったとしています。

 そのなかで,気になっていたのは,昨年度の某模擬試験で室町幕府と鎌倉府の関係について説明させる論述問題を作成したこともあり,室町幕府による全国支配です。2011年東大の入試第2問も,足利義持期に注目しつつ,守護大名を通じた室町幕府の全国支配に着目した問題でした(本郷恵子氏が出題者かどうかはわからないが)。
 室町幕府に対する鎌倉府の自立性については,足利基氏が鎌倉公方になって以降進み,幕府にとって鎌倉府との関係は外交であり、幕府の鎌倉府に対する優位性は官符・官宣旨を出せることで確保し、全国政権としての演出をしていたとしています。本郷氏は,幕府の全国支配について,禅宗による宗教面での補完と官符・官宣旨の利用を強調しているのですが,各地域の調整という側面だけで幕府の全国支配は成り立つのだろうかという疑問が残りました。残念だったのが,義満時代の記述で終わっていたことで,近年注目されている(らしい)義持時代に触れられていなかったことです。

 読みながら,ご主人の本郷和人氏の影がちらちらしたのは気のせいだろうか(笑)。個人的には,本郷和人氏のファンで,著書はほとんど読んでおります。というのは,授業の説明で使える話が満載だからで,おすすめは『人物を読む 日本中世史』(講談社選書メチエ)です。中世は授業で説明しにくい項目が多く,苦労しますが,本郷和人氏の著書は本当にありがたいです。

『日本史 史料問題集』駿台日本史科編(駿台文庫)

 今回は,自分も編集に関わった史料問題集を紹介します。
 言うまでもなく,日本史では多くの大学で史料問題が出題されます。にもかかわらず,史料問題を苦手とする受験生も多いことでしょう。史料問題を攻略するためには,正しい日本史の知識と慣れです。この史料問題集は,第1部は「必読史料の攻略」として,頻出史料を40のテーマに分け,各テーマごとに知識の整理をしつつ,実戦的に3~4種類の史料をチェックできるようにしてあります。問題が少ないように思われるかもしれませんが,各史料のポイントになる部分を必要最小限に絞って抜き出してあるので,効率よく史料のチェックができます。多ければいいというものではありません。また,第2部では,受験生が苦しむ「初見史料の対処法」を提示しています。初見史料は事前に学習できないので,その場で処理する能力が求められます。その考え方ををまとめてあります。これを参考にまずは,自分が受ける大学の過去問で,練習してみてください。必ず解けるようになるはずです。
 この問題集の使用時期ですが,薄いので一気に出来るというメリットがありますが,受験直前に慌ててやるというのはお勧めしません。やはり,普段から授業を受けた後の復習用としてじっくり問題を解くのがベストだと思います。また,途中でもふれましたが,この問題集をやって安心することなく,必ず過去問を仕上げとして解いてくださいね!

日本史史料問題集 (駿台受験シリーズ)
日本史史料問題集 (駿台受験シリーズ)
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