大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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センター試験の日本史について ~文章選択(正誤)問題~

 センター試験の日本史でポイントになるのは,文章選択(正誤)問題と年代順配列問題です。今回は,問題の6~7割を占める文章選択(正誤)問題について考えてみましょう。

 出題形式は大きく分けて,4パターンぐらいありますが,基本は同じで,要は一つ一つの文章の正誤の判断ができればよいのです。特に解答のコツは,誤文を判断することです。正文は判断しにくい場合が多いので,誤りが見つけられなければ正文です。つまり,誤文を見つける能力を高めることが,センター試験の文章選択(正誤)問題の攻略となります。

 そのためには,問題の特徴を知り,普段の学習から考えなければなりません。文章選択(正誤)問題の基本となるのは,以下のような時期の判断をする問題です。文章選択(正誤)問題で,比較的正答率が低いのはこのパターンの問題です。内容や語句に関する問題は暗記知識でなんとかクリアできる問題が多いこともあるでしょう。

◆2011年 日本史B 本試験 第2問 問5 11◆ 
  下線部dに関連して,9~10世紀ころの僧の動向について述べた文として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

 ① 空海は,唐に渡った経験はないものの,唐風の書の名手であった。
 ② 最澄の弟子円珍は,唐から帰国後,真言宗の密教化を進めた。
 ③ 9世紀初頭,鑑真らが唐から渡来し,日本に戒律を伝えた。
 ④ 10世紀半ば,空也が京で浄土教を説いた。
(解答は④)

◆2011年 日本史B 本試験 第5問 問2 26◆
  下線部b[1880年代後半から1890年代にかけて,断続的に会社設立ブーム(企業勃興)が起こり,産業革命をむかえた]に関して述べた文として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

 ① 民営の鉄道会社がいくつも生まれた。
 ② 多くの紡績会社が設立された。
 ③ コンツェルンの形態による企業の結合が広くみられた。
 ④ 一部の工業分野で機械制による生産が広まった。
(解答は③)

 そのほか,時期の判断を求められる問題には,「古墳時代の~」「聖武天皇の時代~」「承久の乱以降の~」などのパターンがあります。これらの問題を攻略するには,通史の学習でしっかりした知識の整理をしておくことが重要です。その際に以下の2点に注意しましょう。

1.原始~現代までの通史をしっかり学習する。  
 「鎌倉時代」の学習をしたから「鎌倉時代の問題」がとけるわけではありません。その前後の「平安時代」や「室町時代」も知っているからこそ,「鎌倉時代」の問題の正誤の判断ができるのです。また,通史を学習する際には,教科書をしっかり読みこなすことが理想的です。センター試験は教科書を基準に作問されているし,教科書が歴史を理解するためにもっともよくできた参考書だからです。センターでよく出る=教科書の内容というのは頭に置いておきましょう。

2.「いつ」の時期の出来事か?というのを意識しながら学習する。
  これは年代暗記のことを言っているのではありません。西暦何年かを知らなくてもセンター試験で9割以上の高得点は採れます。まず,世紀-時代区分-文化区分をしっかり覚えることです。例えば,「8世紀-奈良時代-天平文化」などをはっきり意識することが重要です。これをわかっていないと「歴史用語や年代は覚えたけど,正誤問題ができない」というパターンに陥ります。これはセンター日本史の出題の特徴をわかっていないことが原因です。

 今後,以上のことを意識しながら,受験生が間違いやすい問題の分析なども,まとめていきたいと思います。

下坂守『京を支配する山法師たち』(吉川弘文館)の感想

 中世の本を立て続けに読んでおります。早島氏の『室町幕府論』から延暦寺と幕府の関係が気になり,Twitterで教えてもらったこの本を読んでみました。タイトル通り,鎌倉時代から戦国時代までの延暦寺を中心とした内容で,知らなかったことの方が多く非常に興味深い内容でした。とにかく,延暦寺は朝廷のみならず,幕府に対しても強かった!

 まず,延暦寺衆徒の支配下にあった坂本の商人は,京の経済に対して非常に大きな影響力を持っていたようです。次に入試でも,頻出の土倉・酒屋役について。教科書や入試では,朝廷の権限を室町幕府が吸収して,京の市政権を握った幕府が高利貸業者である土倉酒屋に課税したという程度の説明しかありません。しかし,現実は京の土倉・酒屋の多くは,延暦寺の衆徒の支配下にあり,幕府は衆徒との協調なく,土倉・酒屋役は徴収できなかったということです。こうした延暦寺の衆徒の京に対する支配の強さがわかっただけでも面白い内容でした。ちょっと,授業では使えない内容かもしれませんが。
 もう一つ,面白かったのは,神輿振りの話です。教科書にも,延暦寺の僧兵が強訴の際に日吉神社の神輿を担ぎ出したことは書いてあります。実際に神輿を担いでいたのは坂本の在地人(住人)で,坂本の日吉神社からいったん,比叡山上まであげられ,そこから雲母坂を下って朝廷へと動座したそうです。いったん山上に上がるとはおもしろいですね。

 中世の寺社については,教科書でも触れられているところではありますが,なかなか具体的にイメージしにくいところですが,この本でかなり参考になりました。
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