大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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センター試験の日本史について ~年代順配列問題~

 今回は比較的正答率の低い年代順配列問題について考えてみたいと思います。 まず,問題のパターンは以下のようなものです。

◆2011年 日本史B 本試験 第6問 問3 31◆ 
 下線部bに関連して,この時期の経済に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

  Ⅰ 浜口雄幸内閣によって金解禁が断行されたが,同じころ世界恐慌が日本にも波及した。
  Ⅱ 片岡直温蔵相の失言をきっかけに,金融恐慌が起こった。
  Ⅲ 関東大震災により,決済不能になったとみなされる震災手形が現れた。

   ① Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ    ② Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ   ③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
   ④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ    ⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ   ⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ
(解答は⑥)

 以前は,文章3つ,選択肢4つでしたが,2009年より選択肢6つとなりました。そのため,テクニック的な解き方はできなくなり,3つの文章の並べ替えが完璧にできないと正解が出せない問題となりました。ただし,判断する文章の年代の幅が広くなったため,難化したわけではありません。
 では,こうした問題の攻略法を考えてみましょう。解答を導き出すのに一番簡単な方法は「何年の出来事かを知っていること」ですが,それは正しい解法(または学習方法)でしょうか?文章選択(正誤)問題編でも,書いたように年代暗記はしなくても高得点が取れるのがセンター試験です。もし年代のわからない選択肢がでたら解けないとあきらめますか?また,年代で考えられない問題が出たらどうするか?例えば以下の問題を見てください。

◆2011年 日本史B 本試験 第2問 問6 12◆ 
下線部eに関連して,寺院と国家の関係に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,以下の①~⑥のうちから一つ選べ。

 Ⅰ 開発領主のなかに,国司の圧迫を逃れようとして有力寺院などに田地を寄進する者が現れるようになった。
 Ⅱ 有力寺院が下級僧侶を僧兵に組織し,神木や神輿を押し立てて,自分たちの要求を通すため朝廷に強訴するようになった。
 Ⅲ 有力寺院の初期荘園が,律令的支配の衰えとともに衰退していった。

  ① Ⅰ―Ⅱ―Ⅲ② Ⅰ―Ⅲ―Ⅱ    ③ Ⅱ―Ⅰ―Ⅲ
  ④ Ⅱ―Ⅲ―Ⅰ⑤ Ⅲ―Ⅰ―Ⅱ    ⑥ Ⅲ―Ⅱ―Ⅰ
(解答は⑤)

 どうでしょう?この問題は年代暗記で解答できるでしょうか?無理なのはわかるでしょう。この問題はできない受験生が多かった問題でもあります(何が原因であったかを別の記事で分析します)。
 まず,年代順配列問題では,年代暗記に頼らずに問題を解くことが重要です。そのためには,やはり「いつ」の時期の出来事かを意識しながら通史をしっかり学習することが重要です。その際に常に整理しておきたいのは以下の項目です。

●何世紀-何時代-何文化
●何年代…1890年代,1900年代など
●権力者…各権力者の時代にあった出来事
  参考記事:「いつ(時期)」をどう考えるか

 以上は単純な暗記ではなく,歴史の流れや時代背景と密接な関係があります。各時代や時期の特徴をしっかりつかむことなく,通史の学習はできません。「年代暗記をするな」とは言いませんが,年代暗記による暗記知識を増やしたところで,年代順配列問題は必ずしも攻略できません。今後,正答率の低い問題などを利用しながら,具体的な分析をしていきます。

センター試験の日本史について ~文章選択(正誤)問題~

 センター試験の日本史でポイントになるのは,文章選択(正誤)問題と年代順配列問題です。今回は,問題の6~7割を占める文章選択(正誤)問題について考えてみましょう。

 出題形式は大きく分けて,4パターンぐらいありますが,基本は同じで,要は一つ一つの文章の正誤の判断ができればよいのです。特に解答のコツは,誤文を判断することです。正文は判断しにくい場合が多いので,誤りが見つけられなければ正文です。つまり,誤文を見つける能力を高めることが,センター試験の文章選択(正誤)問題の攻略となります。

 そのためには,問題の特徴を知り,普段の学習から考えなければなりません。文章選択(正誤)問題の基本となるのは,以下のような時期の判断をする問題です。文章選択(正誤)問題で,比較的正答率が低いのはこのパターンの問題です。内容や語句に関する問題は暗記知識でなんとかクリアできる問題が多いこともあるでしょう。

◆2011年 日本史B 本試験 第2問 問5 11◆ 
  下線部dに関連して,9~10世紀ころの僧の動向について述べた文として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

 ① 空海は,唐に渡った経験はないものの,唐風の書の名手であった。
 ② 最澄の弟子円珍は,唐から帰国後,真言宗の密教化を進めた。
 ③ 9世紀初頭,鑑真らが唐から渡来し,日本に戒律を伝えた。
 ④ 10世紀半ば,空也が京で浄土教を説いた。
(解答は④)

◆2011年 日本史B 本試験 第5問 問2 26◆
  下線部b[1880年代後半から1890年代にかけて,断続的に会社設立ブーム(企業勃興)が起こり,産業革命をむかえた]に関して述べた文として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

 ① 民営の鉄道会社がいくつも生まれた。
 ② 多くの紡績会社が設立された。
 ③ コンツェルンの形態による企業の結合が広くみられた。
 ④ 一部の工業分野で機械制による生産が広まった。
(解答は③)

 そのほか,時期の判断を求められる問題には,「古墳時代の~」「聖武天皇の時代~」「承久の乱以降の~」などのパターンがあります。これらの問題を攻略するには,通史の学習でしっかりした知識の整理をしておくことが重要です。その際に以下の2点に注意しましょう。

1.原始~現代までの通史をしっかり学習する。  
 「鎌倉時代」の学習をしたから「鎌倉時代の問題」がとけるわけではありません。その前後の「平安時代」や「室町時代」も知っているからこそ,「鎌倉時代」の問題の正誤の判断ができるのです。また,通史を学習する際には,教科書をしっかり読みこなすことが理想的です。センター試験は教科書を基準に作問されているし,教科書が歴史を理解するためにもっともよくできた参考書だからです。センターでよく出る=教科書の内容というのは頭に置いておきましょう。

2.「いつ」の時期の出来事か?というのを意識しながら学習する。
  これは年代暗記のことを言っているのではありません。西暦何年かを知らなくてもセンター試験で9割以上の高得点は採れます。まず,世紀-時代区分-文化区分をしっかり覚えることです。例えば,「8世紀-奈良時代-天平文化」などをはっきり意識することが重要です。これをわかっていないと「歴史用語や年代は覚えたけど,正誤問題ができない」というパターンに陥ります。これはセンター日本史の出題の特徴をわかっていないことが原因です。

 今後,以上のことを意識しながら,受験生が間違いやすい問題の分析なども,まとめていきたいと思います。

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