大学受験の日本史を考える

大学受験予備校で日本史講師をしている鈴木和裕です! 大学受験の日本史について思いつくままに書いていきます!

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2015年センター日本史B本試験の難問分析 ~その1~

 久しぶりに,ブログを書き始めた目的である,入試問題の分析をします。
 今年は執筆が多く,手が回りませんでしたが,2015年度のセンター日本史B本試験の難問を分析します。そろそろ,過去問を始めた受験生もいることでしょう。間違った問題を分析する参考にしてください。


◎時期判定問題について

◆第1問 問6 問題番号6

問6 下線部(e)に関連して,古代の人の移動に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

 Ⅰ 滅亡した百済や高句麗から多くの人々が移住した。
 Ⅱ 渤海との間で,外交使節が往来した。
 Ⅲ 朝鮮半島から,五経博士や暦博士・医博士などが交代で派遣された。

 ① Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ  ② Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ ③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
 ④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ ★⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ ⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ

Ⅲ五経博士の来日…6世紀 古墳時代
Ⅰ百済・高句麗の滅亡…7世紀 飛鳥時代
Ⅱ渤海からの使節往来…8世紀 奈良時代
  
 年代順配列問題で,やや正答率の低い問題でした。
 外交に関する時期の判断ができない受験生が多いようです。やや正答率の低い問題でした。普段の学習から「奈良時代=8世紀の出来事」といった時期の整理をしておかなければ正答は出せません。


◆第2問 問5 問題番号11 

 問5 下線部(e)に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

 Ⅰ 軍団・兵士の廃止にともない,郡司の子弟などが健児に採用された。
 Ⅱ 大宝令の施行を受けて,地方の豪族は郡司として行政にあたった。
 Ⅲ 尾張国の郡司が,百姓とともに国司藤原元命の暴政を訴えた。

 ① Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ  ② Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ ★③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
 ④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ  ⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ  ⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ

 Ⅱ大宝令の施行…8世紀初 文武天皇 奈良時代
 Ⅰ健児の採用…8世紀末 桓武天皇 平安初期
 Ⅲ受領制…10世紀以降 平安中期以降
  
 それほど正答率が低い問題ではありませんが,年代順配列問題ということで取り上げました。
 社会経済などは「何世紀ごろ」という時期の判断がある程度,必要ですが苦手な受験生が多いようです。「何世紀」「何時代」「権力者」などできるだけ多くの時期判断ができるようにしておきたいところです。
  藤原元命=受領というのがわかっていれば,受領制が確立する平安時代中期=10世紀のできごとだと判断できます。健児の制が桓武天皇(平安初期)の時代であることは基本的な知識です。古代の社会経済の発展については,「何世紀ごろ」という形で整理しておく必要があるでしょう。



◆第4問 問5 問題番号23

問5 下線部(d)に関連して,近世後期の対外問題への幕府の対応に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

 Ⅰ 海防上の必要から,近藤重蔵らに択捉島の探査を行わせた。
 Ⅱ アヘン戦争の情報を受け,外国船に対する薪水給与を命じた。
 Ⅲ ロシアとの間に軍事的緊張が高まるなか,はじめて全蝦夷地を直轄地とした。

 ① Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ  ★② Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ   ③ Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ
 ④ Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ   ⑤ Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ   ⑥ Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ

 Ⅰラクスマン→近藤重蔵 寛政期 18世紀末
 Ⅲ蝦夷地の直轄化 化政期 19世紀初
 Ⅱアヘン戦争 天保期 19世紀半ば

 この設問は,正答率の低い難問でした。やや細かい事項の時期判断を求めていますが,教科書には記述されている内容です。
 江戸時代後期の対外政策が整理できていない受験生が多いと思われます。過去に出題された問題でも,正答率が低い問題があります。ロシア船の来航とその対策(北方探検・蝦夷地直轄化)→イギリス船への対応(異国船打払令)→アヘン戦争による転換(天保の薪水給与令)という展開を理解しておく必要があります。
 江戸時代の後期の外交は,教科書などのまとめ方から考えても,将軍など権力者ごとに知識を整理しておくのは難しいでしょうか。この問題の場合だと,ラクスマン来航(1792)→近藤重蔵の千島探検(1798),レザノフ来航(1804)→全蝦夷地の直轄化,アヘン戦争→天保の薪水給与令(1842)というのがわかっていないと解けないでしょう。
 外交に関する事件と江戸幕府の対応をセットで押さえておく必要があります。

 2015年度は「時期判定問題」に難問が少なかったようですが,例年は難問が多いので注意が必要です。
 次回は内容判定問題の難問を考えてみます。

10月からのセンター日本史Bの学習

もう1週間から10日ほどで、『センター試験 日本史Bの点数が面白いほどとれる一問一答』が発売になります。
今回はそれを利用した学習法を。
まだ、日本史の知識を十分に整理できず、今からどうやって勉強していいかわからないという受験生もいることでしょう。
そういった日本史の学習が遅れている受験生には、僕の書いた本をお勧めします。いずれも、短期間で仕上げられるので、この時期になっても、知識の定着に自信のない受験生にピッタリです。

まず、『時代と流れで覚える!日本史B用語』(文英堂)を2週間から1ヶ月で仕上げましょう。
今まで授業できいた内容をさっと整理するのが目的です。頭の中でバラバラになっていた歴史用語が「時代と流れ」で結び付き、覚え直せればOKです。時間をかけてはいけません。

次に『センター試験 日本史Bの点数が面白いほどとれる一問一答』(KADOKWA/中経出版)を2週間から1ヶ月で仕上げましょう。
目的は、受験生が苦手とする文章正誤問題と年代順配列問題に慣れつつ、今まで得た「日本史の知識をセンター試験に見合ったもの」にすることです。これも、短期間で一気に!

最後に過去問演習です。
最低でも、本試験10年分(2015〜2006年)は解いて下さい。
この段階で80点前後取れるていれば成功です。後は間違った問題を丁寧に分析して、弱点補強をして下さい。解説を読んで終わり!じゃダメですよ。知識不足を感じたら、『時代と流れ』『一問一答』に戻って、苦手分野だけ見直して下さい。

以上を年内に終わらせて、うまくいけば、本番で100点が取れるでしょう。
間違った問題の分析がうまくできない、という受験生は11月末に刊行される予定の本を待っていて下さい。きっと「満点のコツ」がわかるはずです。受験生が間違えやすいセンター試験の「難問」を分析した本です。

ただし、注意。
以上の内容は、学校や塾・予備校の授業を受けていた、あるいは、自分なりに今まで参考書・教科書で勉強していた、にも関わらず、知識の整理・定着ができていないという受験生へのアドバイスです。
今まで、まったく何もしていない受験生(極端に言えば初学者)へのアドバイスではありません。

次回は問題集・参考書執筆の関係で、例年より、大幅に遅れましたが、2015年度センター日本史Bの難問分析をしようと思っています。

ちなみに『センター試験 日本史Bの点数が面白いほどとれる一問一答』の見本が届きました。いよいよです。
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